2012/05/02

「仏像鑑賞」

小さい頃にあまり旅行などしたことなかったせいか、大学生の頃から旅行をするのが好きになった。特に20代~30代前半には海外旅行が多く、知らない国の言語、文化、風土、歴史に触れることがとても新鮮で、楽しかった。中国、ヨーロッパ、北米、南米…行こうと思えはどこでも行けるものだと実感した。
30代の半ばから、ふと「そういえば、意外と日本を知らないな…」と思い、以後、国内旅行ばかりしている。
国内旅行は専ら愛車のレガシィで回るのだが、四国、九州、山陰・山陽、東北、北海道…ここ数年でほぼ全国を回った。どこも素晴らしい場所ばかりだった。日本もまだまだ捨てたものではない。
国内旅行の見どころは、料理、温泉、景色とさまざまあるが、自然と神社・仏閣へ立ち寄る回数が増えていった。海外旅行も同様だが、その土地を知る上で、歴史と宗教は避けては通れないものである。そんなことを繰り返しているうちに、何となく仏像に魅せられてしまった。

私も仏像を語るほどの知識があるわけではないが、ここで少し仏像についての入門知識を紹介する。

まず、仏像であるが、本来は仏教の開祖である、お釈迦様を表現した「釈迦如来像」1種類であった。しかし歴史とともに、弟子や信徒により、人々の願いを叶えるためにさまざまな役割の仏が生み出され、今では数えきれないほどの仏像が作られるようになったのである。
仏像を大別すると4つのステージに分類することができる。
【第1ステージ:如来(にょらい)】
真理にめざめたもの。悟りをひらいたもの。
髪は螺髪(らほつ:パンチパーマみたいな感じ)、質素な服装。
(主な仏像)釈迦如来、阿弥陀如来、薬師如来、大日如来など。
【第2ステージ:菩薩(ぼさつ)】
真理を求め修業中のもの。次に悟りをひらくもの。
装飾品を身につけているものが多い(王子の出で立ち)
(主な仏像)観音菩薩、地蔵菩薩、虚空菩薩、弥勒菩薩など。
【第3ステージ:明王(みょうおう)】
教えに従わないものを恐ろしい姿で教化するもの。
怒った表情、睨みつけている。
(主な仏像)不動明王、愛染明王、孔雀明王など。
【第4ステージ:天】
古代インドの神々が仏の世界に入ったもの。
個性的。
(主な仏像)四天王(多聞天・持国天・増長天・広目天)、弁財天、大黒天など。

また、仏像を見る際には、次の点も注意して見るとさまざまなものがあり、面白い。
「印(いん)」…手つき、身振りのこと。
「光背(こうはい)」…仏像の後ろにあり、輝きを強調するもの。
「台座(だいざ)」…仏像が乗っているもの。
「持物(じもつ)」仏像の持ち物。

どこかで仏像を見る機会が会った際には、こんなことを頭の片隅において鑑賞すると、ちょっと深みが出て、楽しみが増えるかもしれない。

最後に、仏像について多少なりとも関心を持ったならば、まず、奈良をお勧めする。私もこの春奈良へ行ったが、奈良は仏像の宝庫である。時間の無い人でも、半日あれば奈良公園周辺、丸一日あれば奈良公園周辺~西の京まで足を延ばせ、数多の仏像に出会うことができる。
特に、奈良は国宝仏の宝庫で、日本全ての国宝仏の半分を超える70もの国宝仏があり、場所によっては手の届くほどの距離から鑑賞することができる(もちろん、触ってはいけないが)。「こんなところにこんな貴重なものが!」と驚く場所が多々ある。また、仏閣のみではなく、奈良の博物館には多数の仏像を所蔵している。博物館で見る仏像は、美術品のように見え、また違った趣がある。是非、一度足を運んで、体感して欲しい。


(2012年5月 渥美 仁孝)