2013/01/31

危機管理


今、世間を騒がせている事件として、
①アルジェリアのテロ事件、②B787機体トラブルの続出、
③桜宮高校の体罰、今週は④全日本女子柔道の体罰が発覚しました。

①日揮は日頃から危険な地域で企業活動をしていることから、
危機管理への意識が非常に高い企業だそうで、
マスコミへの徹底した情報統制や真摯な対応など、
危機管理(広報)能力が高く評価されていました。

また、②ではANAのB787機が高松空港に緊急着陸した際も、
重役の指示で多数の社員を現地入りさせて対応に当たらせたり、
ANA・JAL共に国交省の運航停止命令を待たずに運航を見合わせました。
なお、ANAの旅行会社に勤務している友人によれば、
運航停止に伴う損害は多大になる、ということでした。

一方、③では対応の拙さが目立ちます。
事件前に見える兆候へのお粗末な対応、
教育委員会や校長による事件の隠蔽工作など、
前例と同じような醜聞が繰り返されました。

④も、報道によれば、他国も交えた強化練習中に、
他国コーチから諌められるほどの体罰を加えていたようで、
にもかかわらず訓告・戒告処分で留めており、
自浄能力の低さを窺わせます。

これらの事例を比較した時に、
優れた危機管理能力を発揮した①②は、
グローバル企業で、開かれた環境下で競争しているのに対し、
③④は閉ざされた組織で、非常に狭い環境下にある気がします。

以前、日本相撲協会で生じた暴力・大麻事件でもそうでしたが、
閉ざされた組織では組織内での常識や、身内の馴れ合いもあり、
世間の感覚とかけ離れたことが常態化する恐れがあります。

危機管理は、平時には無用の長物かもしれませんが、
いざという時に機能しないと、致命的な損害を被ります。

雪印乳業が乳飲料で集団食中毒を引き起こした際、
時の社長が「私は寝ていないんだ」の舌禍事件を起こし、
翌年に起きた牛肉偽装事件と相まって、
雪印グループの解体にまで繋がりました。

危機管理では当事者の主観的な判断をするのではなく、
あくまで客観的な対応を取らなければならず、
中小企業であっても強く認識すべきと思います。
(2013年2月 林 哲史)