2015/02/23

コミュニケーションを円滑にするたった1つの方法

 ここ数年、人事評価制度設計に携わる機会が増えてきた。理論を学んだとは言え、設計手法は十人十色で、大げさに言えば人生を左右しかねず慣れたとは言い難い。ただ、その過程で気づいた強力な手法があったのでここでまとめてみたい。
 
 人の評価でミスを起こす代表的な事例の一つで、「論理的錯誤」というものがある。
 全く関係ない二つの項目にあたかも何かの論理性があるかの如く関連付けて、勝手に評価をしてしまう事である。
例を挙げると、人前でうまくしゃべれる人をみて、その人が論理的思考力が高いと判断してしまう事などがある。そんなバカな?と言われる向きもあるかもしれないが、これが意外に多い。特に部長が課長を評価するといった、管理職が管理職を評価するときに起こることが多く見受けられるように、個人的には思う。

 理由は様々考えられるが、大きく分けると①管理職になると論理的思考を求められる機会が多いから②被評価者を先入観を持ってみているという2点集約できることが分かってきた。ここで特に気にしたいのが②の先入観である。この先入観は、人材評価のみならずコミュニケーションの場面においては往々にして失敗を招くことが多い。

 では、この先入観を外して人とコミュニケーションを構築するにはどうすれば良いのか?いろいろなやり方があるのだろうが、オススメしたいのは、私見を外してありのままに捉える事である。

 そんなことは誰もやっていると思われているかもしれないが、本当にそうかだろうか?人としゃべっているときに、「あ、この話前に聞いたな?」とか「こんな話をしようかな?」ということが頭によぎったことのないという方はどれくらいいらっしゃるだろうか? 沈黙の続く場で「何か空気が重たいな」と思わない方がどれくらいいるだろうか? そういったものがまさに先入観が入った状況である。

 それでは先入観が入らない方法とは何か? それは、全てに理由があると考える事である。あなたが向き合うその相手の一挙手一投足を見逃さないことである。

 人は、言葉以外にも様々な情報を発している。目の動き、手指の動き、足の位置、座り方・立ち方、その全てに理由がある。その情報を一つ一つ注意深く見つめ、気づいたことがあったら、相手に問いかける事である。その問いかけの返答は、また新しい情報を与えてくれる。問いかけをしないと、勝手に思い込んでいるだけなので、問いかけをすることがキモである。ただ、問いかけを続け過ぎると、いつの間にか問いかける側が一方的に話すことになってしまい、情報が得られなくなってしまうのでこのバランスが難しく、私も体得に至るまでには至っていない。
ただ、この実践を始めた結果、コミュニケーションの場面において取得する情報量や相手との距離感が飛躍的に向上したことが実感できている。
是非お試しいただきたい。
(2015年2月 長谷川)