2015/05/02

自己成長について

 10分間のプレゼンに挑戦した。インストラクション・スキルアップ研究会では、普段は3分間のスピーチを披露し合うのだが、半年に1回は10分間のプレゼンに挑戦している。
今回のテーマは「自己成長」だ。「自己成長について10分間でプレゼンをせよ」と言われたら、あなたなら何を話すだろうか。企業で企画や分析を10分のプレゼンをせよと言われたら、とりあえずパワーポイントの作成から取り掛かかり、パワーポイントを見ながら話せば、10分くらいあっと言う間に過ぎてしまうと思うのではないだろうか。

しかし、自分の考えを10分でまとめて話すということは中々に難しいものである。テーマも抽象的で難しい。中小企業診断士の集まりだから、マネジメントの本などを要約してまとめるだけでは、ネタばれしてしまい、カッコがつかない。自ずと、思い思いにオリジナリティを競い合うことになる。ある者は仮説を立て、それの検証結果をプレゼンにまとめた。中小企業と大企業とどちらが社員に自己成長を求めているかの問いを設定し、企業ホームページの使用語彙発生頻度から傾向分析する斬新な手法だった。また、ある者は成長曲線を自己の成長曲線と経験に置き換えて俯瞰する手法で人生の振返りと今後の展望を示し、ある者は自己形成の核心となる要素を内省的に掘り下げて見せた。

私はというと、成長を測る物差しの選択自体に価値観や思想が反映されること、それ故自分にとって価値あるものが何なのかを探求することこそが自己の成長に繋がることをパワーポイントも使わずに随想的に述べてみた。話している本人は、予めあらすじを下書きしてきているから、紆余曲折しながら結論に向かって話しているつもりなのだが、聞いている方は一体どこへ連れて行かれるのだろうと思って聞いていたに違いない。インストラクション・スキルアップ研究会では各自のプレゼンをビデオで録画して、その場と、後からもダウンロードして各自が見られるようにしている。今改めて見てみると、章立てして話した方が聞き手には話がすっきり伝わったかもしれないと思う。話す内容を話し手も聞き手も整理しながら進行できるという点でパワーポイントの活用は有用で、不慣れな私にはパワーポイントの手助けを借りる必要があったのかもしれない。
普段のプレゼンでも、うまいと感心するのは、重要なことを必ず3つにまとめて話すように構成しているプレゼンだ。一つ目は、二つ目はと、指を挙げて話してくれることで、今どこにいるのか分かり易く、話し終わった後にも振返り易い。メリハリを付けることでパワーポイントがなくても分かり易いプレゼンになっている。普段からきっちり3点にまとめて述べる練習をしていくようにしよう。

また、研修講師やスピーチの達人は尺に応じたネタのストックを何百本も予め用意しているという。こつこつとアジェンダを蓄積していくこととしよう。

先月のコラムには「意識の高い集団の中に放り込まれると、自分と周りを比較し、自分の足りない面に気づき、新たな考えに触れ、刺激を与えられ、勝手に成長していく」とある。今後も刺激を受けつつ与えつつ、ともに成長していきたいと思う。
(2015年5月 吉田 成雄)