2014/11/29

伝えたいという「想い」が心を動かす!


2014年11月、東北震災被災地を訪れる機会を頂きました。
3年経った被災地は瓦礫の山から未来に向けた年作りとして歩んでいるようです。
しかし、その内容は大規模な税金の投入や、人工的な盛り土、
自然と人間の格闘の図は何か複雑な気持ちになりました。

さて、被災地は陸前高田市から女川町まで廻りましたが、
その中でふと感動した気付きがありました。
それは、現地を案内頂いた人の説明がとても心に響いたのです。
それも2人。

一人は、もともとは地元の事務員だった50代の女性。
高台に登ろうと車を捨ててあと5分判断が遅かったら死んでいたそうです。
もう一人は商工会の40代の男性。波が来た真ん中でビルの屋上にある水槽によじ登り
足元までくる水の中を必死にしがみついて生き延びたそうです。

2人とも決して、大きな声でもなく、滑舌や論旨が良いわけではない。
プレゼンの練習や話し方のトレーニングをしたわけでもなさそうでしたが、
明らかに単なるインストラクションスキルを超えるエネルギーがあったのです。
その理由を私なりに考察すると次の2つが理由のように思いました。

①伝えたいという「想い」がある
まずひとつは、伝えたいという強い想いがあることです。
言い変えれば「情熱」があったのです。
2人とも「案内役を買って出ているのは、それが残された私たちの使命だと思っている」
と言っていました。目の前で多くの人が亡くなり、
想像を絶する体験から大きな使命を持った覚悟を感じました。
決して大きな声でなくとも背負ったものから生まれる言葉には、
伝えたいという情熱がありました。

②体験という説得力
二つ目は、体験しているというその人の持つ立場です。
インストラクション効果は「どう話すか」と同じくらい「誰が話すか」も大事。
今回は壮絶な体験をしている本人の言葉だけに大きな説得力があります。
聞く側も「体験した人」という前提で話を聞いているので感情も入りました。
論理的で綺麗な話よりも「私はこう経験した」という話は、
心に響くものでした。


伝えたいという情熱、そして体験。
人に何かを話す時、心を動かすヒントがありました。
同時に被災地のこれからの復興を願ってやみません。

(2014年11月 安藤 準)