2014/11/30

金融工学と会社経営

大学時代、金融工学を研究題材としていました。当時、数学を駆使し、デリバティブ取引に適用しこっそり大儲けができる、との淡い期待で勉強を始めたものです。(結果、甘い期待でした)
確率や統計を使って、ブラックショールズ式、伊藤のレンマ、熱伝導方程式などを追っていました。金融工学のなかでよく使うものとして、正規分布があります。真ん中が盛り上がっており、左右が富士山のすそ野のように広がっている釣鐘上の分布です。
世の中で発生するほとんどの事象はこの「盛り上がっている」部分に入ります。一方、「すそ野」の扱いは厄介です。「すそ野」は、リーマンショック、大震災、戦争など、滅多に発生しないだろうと想定している事象を表しています。しかし、実際にはこれら事象が結構な頻度で発生しており、左右のすそ野は、既にすそ野ではなく、もっと高い高原状である、との研究成果があります。なお、このすそ野だけを研究している学者たちがたくさんいます。
また、滅多に起こらないことが起こると、想定していない事象なので、対応をとっておらず、被害額が甚大になります。そもそも被害額を予測することは難しいものです。
改めて、この分布を振り返ってみると、
・「盛り上がっている部分」はコンサルタント
・「すそ野」はマネジメント
と、(勝手に)整理できるような気がします。
コンサルタントは、世の中で多く起こる事象に主に目を向けていると感じます。時にはそれら事象を細分化し、整理して、アドバイスを行います。
マネジメントは、もしかしたら起こるかもしれないことを常に頭に入れ、起こらないようにしたり、その損害規模、起こった時の対応を事前に考えたりしています。もちろんマネジメントは「盛り上がっている部分」も考える必要があるが、現場に権限委譲していることが多いのでしょう。
このように考えると、マネジメントってとても難しく、ロジックだけで判断できるものでないと想像します。従業員、株主、顧客に対する熱い想いから生まれる、勇気ある、そして繊細な判断が必要だと感じました。
社長って本当にすごいです。
(2014年11月 稲吉 勝範)