2010/10/01

商品開発

今から30余年前、小学校の下校途中に道行く車を眺めて、「ホンダのシビックCVCCはかっこいいな。大人になっても、あのデザインで売っていたらいいな。」などと考えていたことを覚えている。どうも、当時、今のデザインが最高で、これ以上かっこいいデザインは出てこないと思っていたようだ。それから多くの年月が経ち、洗練されたデザインの車が次々に現れた。やはり、当時の車のデザインは、今見てみれば古いデザインであり、人間の創造力とはすごいものだと思う。

近年、大ヒット商品は出にくくなったといわれるが、それでもヒット商品は次から出てくる。最近ではラー油でヒット商品が出たそうだ。乾燥したガーリックなどが入り、おかずとして食べることのできるラー油なのだそうだ。今でも品切れでなかなか買うことができない。しかし、ラー油でヒット商品が出るなどだれが想像したのだろうか。

ちょっとした工夫をすれば、あらゆる商品がヒット商品になる可能性があるのであろう。しかし、それになかなか気がつくことができない。商品開発に携わったことのある方であれば、「これ以上、何か新しいものなどできるのだろうか?」などと思ってしまったことは一度や二度はあるはず。しかし、ラー油でヒット商品がでることを思えば、どんな商品でも、工夫の仕方はあるはずである。

人の欲求はとどまることを知らない。新しいものが発売されれば、多くの人が注目し、購入していく。しかし、すぐに人は飽きてしまい、次に新しいもの、面白いものを探し始める。だからこそ、ヒット商品が生まれるのだ。

それでは、ヒット商品をつくった人は天才なのだろうか。もちろん考えついたのだから天才かもしれないが、やはり普通の人が、一生懸命考えて、パッとひらめいたりしたもののように思う。ちょっとした思いつきと、商品化する執念がヒット商品をつくるのではと思ったりしている。

あらゆる商品において、価格下落が起きている今日、新たな工夫、新たな創造が求められている。商品開発に携わる人間として、知恵を絞っていきたいと思っている。
(2010年10月 佐野 裕志)