2011/08/12

賞与の実態


6月・7月は夏の賞与の支給時期である。
日経新聞では夏より4%程度UP、平均約72万円という発表がされていた。
しかし、これは日本の企業の実態ではなく、大企業、しかもその中でも一部の優良企業の実態である。しかし、こういう報道は中小企業で働く従業員の耳にも入る。
その中小企業の実態は?というと、私の勤務先で約500社に調査したところ、全体での平均は約23万円、そして、30%の会社が支給「0」となっている。半年毎に調査しているが、概ねこのあたりで推移している。
あたかも、日本の企業の平均が70万円超という風に聞こえるが、上記の通り事実は違う。しかし、それを見た中小企業の従業員は「うちはこれしかもらえないのか?」と考える。
前提条件を承知の上で見れば、世の中の動向を表している、という程度で見れるが、現実はそうでもないのである。社長からすれば、業績が厳しい中、「少しでも」という想いで無理して支給しているにも関わらず、従業員はそれに気付かず悪循環に陥っている企業が多いのである(私の体験上である)。
本来、賞与は業績に応じて配分されるものなので、中小企業の場合は、経営者の考える戦略(方向性)による部分が大きい。その意味では、従業員にとって賞与は「社長から頂いている」と考えることもできる。しかし、給与は、「お客様から頂いているもの」であり社長は「従業員から頂いているもの」と考えられる(従業員が社長の決定に従って動いくれているから、自分の給料ももらうことができる、という考え方)。
こう考えれば、賞与の支給があるだけでも本来は感謝することができるのではないだろうか。社長の戦略(方向性)が間違っていればいくら社員ががんばっても残念ながら利益は出ないのであるから(出にくいと表現した方が良いかもしれないが)。そして、社長は従業員に感謝し、従業員は社長に感謝する(家族にももちろん)。
お互いに感謝しあえれば、「良い会社」ができていくと思う。特に中小企業は。

(20118月 山崎 貴則)