2011/09/29

プロとして目指すところ

先日、初めてプロゴルフトーナメントを観戦に行ってきた。以前から、プロゴルファーの打球とはどんなものか目の前で見てみたかったのだが、ようやく実現することができた。923日金曜日、パナソニックオープンの2日目(予選ラウンド2日目)である。なぜ予選ラウンドに行ったのかといえば、やはり石川遼を見てみたかったのだが、最近彼は予選落ちすることが多いため、決勝ラウンドだと見られないかもしれないと思ったからである。
予選ラウンドなので、海外も含めて名前の知らない選手やアマチュア選手も多かったのだが、トーナメントに出るだけあって、どの選手の打球もさすがであった。見ている私が爽快感を覚えるのである。ドライバーショットは、すごいというよりも、“美しい”と感じた。ゴルフ好きの方は、ぜひ一度観戦することをお勧めします。
さて、さすがに石川遼の追っかけは多く、彼のパーティとともに数百人が大移動するという状態である。そのため周りは人だかりで彼をよく見ることができなかったが、それでも2度だけドライバーショットを見ることができた。ニュースでは彼のドライバーショットが話題になるが、実は飛距離ではほとんどの選手が彼くらい飛ばすのである。彼のショット自体は、プロの中ではそれほど際立っているとは感じられなかった。体もプロ選手の中ではむしろ小柄なくらいである。その彼がなぜこれほど皆を熱狂させることができるのだろうか。
彼はそれほど調子が悪いわけではないのに、シーズン中にスイングの改造を行なったりする。また、安全策をとらず、リスクの高いショットを試みたりする。私は彼の言動を見ていると、彼は優勝を目指してやっているのではないように感じる。彼が目指しているのは理想のゴルフをすることであって、優勝はその通過点に過ぎないのではないだろうか。私の愛読書であるビックコミックにゴルフの漫画がある。漫画の主人公である藤本草太は、はちゃめちゃなゴルファーであるが、草太の目標は全ホールバーディ(ロングはイーグル)である。石川遼が目指しているのもそのようなところにあるのではないだろうか。そういう高いところを目指しているからこそ、58という最小スコアも実現できるのではないか。
ひるがえって、われわれの仕事は普通はお客様に満足されることを目指して行なっている。しかしお客様から満足されても、自分自身ではまだ十分でなかったと思うことも多い。私は先日研修の講師を行なった。幸い受講者からの評価は高く、お客様からは合格点をいただいていると思うが、自分自身では「ここはもう少し改善が必要だな」と思う点がいろいろある。合格点をいただいたからこれでいい、で終わらせず、自分自身でも本当に満足できるところまで努力する。そこを目指すことによって、もう一段成長することができるのではないだろうか。
(2011年10月 伊藤純一)