2012/11/25

リーダーの決断力・行動力


真情を吐露すると、政治にそれほど興味や関心はない。企業経営において政治はマクロ環境であり、中小企業診断士・コンサルタントにとっては所与の条件であることが理由だと思う。
しかしこんな私でも、興味をそそられる政治家が二人いる。一人は小泉純一郎氏、もう一人は石原慎太郎氏である。両氏に対しては賛否両論あるだろうし、私自身もすべて是と受け取っているわけではない。私が両氏に興味をそそられるのは、確固たる信念を持ち、その実現に向けた決断力と行動力を有している点である。

石原氏は、今回の国政への再登板の理由について、自身の公式ウェブサイトにて以下のように語っている。
「国民も政治家も役人も我欲に溺れて明日を考えようとはしない。このままではこの国はまだまだ大丈夫だと自惚れている内に、あのタイタニック号のようにあえなく沈没するのではないだろうか。今では誰しも密かにそれを感じているのに、自ら動こうともしません。だから私は、もういい年ですが最後の御奉公のつもりで、若いしっかりした世代を作り直し彼らにバトンタッチをしてもらうつもりで決心しました。目的は端的に、強くしたたかな日本を造りなおすことです。」
(石原慎太郎公式ウェブサイト http://www.sensenfukoku.net/index.html

石原氏は現在80歳である。サラリーマンであればとうの昔に現役を引退している年齢である。氏が再登板を目指さなければならなかったのは、産経ニュースの表現を借りるならば、次の衆院選と来夏の参院選が日本再生のためのラストチャンスになるかもしれない。そういう危機感が石原氏を駆り立てたにちがいない。吉田松陰の言葉を借りれば「やむにやまれぬ大和魂」だったのではないか。
(産経ニュース

 また、同じく注目を集めている政治家として橋下徹氏が挙げられるが、みんなの党との候補者調整をジャンケンで決めてもいい、との発言について批判されたことについて、記者団に対して以下のように語っている。
「どうしようもない状況になった場合に理屈じゃなくて最後どっちをとるか。そういう政治判断、政治決断をジャンケンと表現した。最後五分五分になってどっちをとったらいいかとなったら、最後はえいやあ、で決めるしかない。そういうことを経験したことのない政治家がたぶん今回のジャンケン発言を批判していると思う。分かる人は分かります。企業のトップをやっている人、責任ある判断をやり続ける人は僕の趣旨は十分理解してくれると思う。日本の政治家は、責任ある、ギリギリの判断をやったことのない人たちばっかりだというのがよく分かりました。(松山市内で記者団に)」

私は、リーダーとは「目的・ビジョンを明確に持ち、メンバーに対して方針を示し、決断と行動することにより、メンバーを通じて目的・ビジョンを達成する人のことである」と認識している。決断・行動せずにいることは、結局は何もしないと意思決定していることと同義であり、環境変化の激しい現在においては、たとえ決断が適切ではなかったとしても、悪である。決断・行動して間違っていれば、それを修正することができるが、決断・行動しなければ是非も分からないし、何も変わらない。
勿論、政治と経営は意義・目的は異なるだろうが、リーダーの役割は変わらない。私は中小企業診断士として、経営者の決断と行動を支援していきたいと思っている。
(2012年10月 藤森 正一)