2013/03/03

4種類のタイプの人


外国の有名な経営者が言った話だそうだが、企業には4種類のタイプの人がいるという。

 まず、「自燃型」と呼ばれる人で、自ら燃えて行動する人のことだそうだ。自ら考え、自ら行動し、廻りに対してよい影響を与える人で、企業では5%程度しかいないという。100人の企業で5人しかいないとは、ずいぶん少ないと感じるのではないか。
 次に来るのは「他燃型」だそうだ。自ら燃えることはできないが、他人が燃えていれば、自分も燃えることのできる人だそうだ。企業に勤める人の45%はこの他燃型に入るという。
 他燃型の次に来るのは「不燃型」で、廻りが燃えていても燃えない人だそうだ。このタイプは45%もいるそうだ。
 最後に残った5%は何かというと、「消化型」というそうだ。燃えている人に対して、燃えている火を消す作業をする人で、早く辞めてもらった方がいい人なのだそうだ。

 この話を聞いて最近読んだ本を思い出した。本の中で西部開拓時代に大きな幌馬車を動かす人々と馬を描いた絵が出てくるのだが、皆が協力して幌馬車を動かしているわけではなく、応援だけしている人もいれば、幌馬車を引いているつもりで道端にある大きな石を引っ張っている人、進行方向とは逆に引っ張る人、幌馬車の上で凧を揚げる人と様々だ。
 経営者である筆者は読者に対して、あなたは会社の中で、どの人ですかと問う。

 中小企業の経営者や組織の長を任されている人からすると、冒頭の5%の自燃型、幌馬車を自ら力強く引く人を一人でも多くしたいと考えているであろう。それでは自燃型という人を作ることができるのだろうか。また、作るためにはどうしたらよいのだろうか。
 私のような若輩者がお話するのははなはだ僭越な気もするが、すべての人が自燃型になることはないが、ある条件を満たしていれば自燃型にすることができるのではないか。

 その条件とは何か。それは働きかけられる人に条件があり、働きかける人のある努力が必要だと考えている。

まず、働きかけられる人の条件は、「素直である」ということである。あらゆる人間の素養の中で最も大事なことは、「人の話をしっかり聞くことのできる素直さを持っていること」であると思う。
 この「素直さ」というのは実は結構難しい。自分にとって嫌なことを言われると人は必ず不快感を覚え、「この人は、意地悪だからこんなことを言うのだ」という思考に陥る。しかし、「素直である」ということは、冷静にその話を聞いて、言っていることが正しければ、「あなたの言っていることは正しい」と相手に言う力を持っているか、ということである。


 そして、働きかける人の努力するべき点は、自ら相手の目線まで下がって、自分(組織)の問題や課題を共有化することではないか。そもそも、自ら燃えることができないのは、燃えるための燃料がないから燃えられないのだ。燃える燃料とは何か。インセンティブも一つの方法だとは思うが、多くの組織の長は、自由にインセンティブを使うことはできない。相手を部下と思わず、チームメンバーと本気で考えて、このチームが勝つためにはどうしたらよいかという問題点や課題を共有化して、協力してほしいと真摯に話をすることが燃料なのではないだろうか。
 
 この「素直さ」「問題の共有化の努力」の2つだけで必ず人が自然型になるとは思わないが、ひとつのヒントになれば幸いである。
(2013年3月 佐野 裕志)