2013/05/03

補助金あれこれ


 アベノミクスの成長戦略のおかげで、今年は中小企業のものづくりに対する支援策が厚い。その一環として、ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金(以下ものづくり補助金)をはじめとして地域需要創造型等起業・創業促進補助金(以下創業補助金)に係る公募が3月中旬から4月中旬に行われた。

 ものづくり補助金の申請には経営革新認定事業期間の確認書が必要であり、今年2月に経済産業省の経営革新等認定支援機関としての認定を受けていたこともあり、久し振りに顧問先の要請により補助事業に係る補助金の申請支援にかかわった。

 補助金といえば、独立して間もない頃は時間が十分にあり顧問先支援の意味で申請書の作成に明け暮れた。作成にかかわった補助金として、中小企業ベンチャー振興基金(中小企業投資育成株式会社)、中小企業基盤整備機構(当時の中小企業事業団)の課題対応研究開発事業、繊維に係る研究開発事業、NEDO(新エネルギー開発機構(NEDO)の研究開発事業、都道府県の行う中小企業創造活動促進法に係る研究開発補助事業等に係る顧問先の補助金申請支援の他、中小企業投資育成株式会社に対する転換社債の申請支援がる。

 このうち、中小企業ベンチャー振興基金は競争率(9%台)が最も激しく受給できるとは社長をはじめとして誰も予想しなかった。そして、数年後投資育成株式会社の転換社債の引き受けが決まった時、地元の新聞記者からインタビューを受け、地方の話題になったということを社長から聞かされた。補助金の効果として、取引銀行から大幅な金利の引き下げを受け、資金関係が改善し社長が大変喜んでいたことが今でも印象に残っている。クレハ時代に新製品開発にかかわってきた自分にとって、ニッチトップ企業を育てるのが今後の使命と思うようになったのは、この頃からからである。

 この他、独立間もない若手社長と問答の末申請書を作成したこと、認可された補助金を活用し補助事業活動を行い一定の成果をあげたが、民事再生のため、作成者が解雇され報告書の作成が困難となり、代わって作成し補助金の交付を受けたこと、提出期限が迫り電話とメールによる支援により提出期限に間に合わせたこと、友人の紹介で作成を支援したが代金が現在も未払いになっていることなど、当時の出来事が懐かしく思い出される。

 補助金の意義は、補助事業(研究開発)による業績の向上、顧客及び金融機関等ステークホルダーからの高い評価による経営力の向上にあるが、補助事業がテコになり経営者をはじめ従業員が研究開発による価値創造を目指そうとする意欲が高揚されることにある。当然その結果は、企業の持続的発展と雇用の増加をもたらし地域発展に貢献することになることに繋がる。しかし、その反面、単に補助金の受給を目的とするのみで研究開発活動におざなりな企業、補助金を支給されたが経営不振により中座し辞退した企業、補助金を運転式に廻した企業、個人のために流用した企業もある。

 これからも、グローバルニッチトップ企業を目指す中小企業支援の意味でも補助事業支援を行っていきたい。
(2013年5月 長屋 勝彦)