2013/05/18

気になるヒト その2


以前、気になるヒトとして野口健氏についてのコラムを執筆したが、今回は最近の気になるヒトである「藤田寛之」氏について書きたいと思う。まずは簡単にご紹介する
「プロゴルファー。1969616日生まれ(43歳)。福岡県出身。身長168 cm。高校1年生でゴルフを始め、3年生の時日本ジュニアゴルフ選手権で4位に入る。専修大学時代にプロ転向。学生時代は同学年の丸山茂樹らの影に隠れた存在。プロ入り後もなかなか芽が出なかったが、プロ転向から5年後の97年『サントリーオープン』で初優勝を飾り、トッププロへの階段を徐々に上がっていく。20代は1勝、30代で5勝、そして40歳を過ぎてから9勝と年齢を重ねるごとに勝ち星が増えてきた。プロ21年目の昨年、43歳にして初めて賞金王の座に就いた。」ご覧のように、40歳を過ぎてから9勝しているのである。そして現在も進化し続けている。また、プレーだけでなく、人間性にも優れている。彼ほど真摯に記者に受け答えするプロはいないとの評判である。
彼はスポーツ選手としては小柄である。元々それほど飛距離が出る方ではなく、小技やパットで勝負するタイプであった。しかし、2011年に初めて出場したマスターズにおいて予選落ちした際に、世界の舞台で日本人代表として恥ずかしくないプレーをしたいと決意し、自分の今までのゴルフを一から見直した。身体特性、スイング特性、持ち球などを分析し、自身の代名詞ともなっているフェードボールを試合中でも封印し、マスターズが開催されるオーガスタナショナルコースの特性に合致したドローボールを磨いた。また、筋力トレーニングや栄養学に基づく体質改善なども積極的に取り入れることによって、飛距離アップに成功した。ドライビングディスタンスを見ると、2008年に273.69ヤードで64位だったのが、2011年には282.36ヤードで39位まで上昇している。正に40歳を超えてなお進化しているのである。

しかし、このように満を持して臨んだ今年のマスターズでは、またしても予選落ちという屈辱を味わった。しかも通算20オーバーで93選手中最下位である。その主な原因は、2月に右肋骨を疲労骨折した影響が大きかったと思われる。努力家であることが逆に仇となってしまったのである。私も試合を録画して(朝早いですから)見ていたが、他人事ながら非常に歯がゆく、悔しい思いをした。しかし、予選落ち後の以下のコメントを読んで、改めて流石だなと感じた。
 「まったく歯が立たなかったというのが現状。(前夜に)スイングを修正してみたがコースではどうにもならなかった。けがをしたのは自分の責任。結果は悪かったけれど、これからそれをどう汲み取って、次にどう成長していくかが大事。また来たい。そのために日本ツアーで頑張りたい。」

44歳の私にとって、43歳の彼の活躍が与える影響は大きい。ジャンルは違えど、彼に負けたくないと思う。今後も彼の動向に注目していきたい。私も自らのジャンルで地位を築き、「いつか一緒にラウンドできる日がくるといいな~」なんて密かに思ったりしながら。
(2013年5月 藤森 正一)