2013/08/04

広がる大人の学び場

「大人の学び場」と聞いて何をイメージされるだろうか。資格の学校や英会話教室をイメージされる方が多いかもしれない。内閣府の「生涯学習に関する世論調査(平成24年7月)」よると、1年の間に文化活動や趣味、スポーツ、資格取得などの生涯学習を「したことがある」と答えた人は57.1%であり、平成20年の前回調査比9.9ポイント増、昭和63年から今回を含めた6回の調査で過去最高となった。学びたい大人が増える中、新しい学びの場が広がっている。その中からいくつかご紹介したい。

まず、市民大学タイプの学び場である。講義形式で学ぶものであるが、大学の教室にとどまらず、街全体がキャンパスになっていることもある。「丸の内朝大学」「シブヤ大学」などがある。「丸の内朝大学」は大手町・丸の内・有楽町エリア全体をキャンパスとし、平日毎朝7時台から開講している市民大学である。2009年春に開講以来のべ1万人以上が受講しており、私自身もビジネス哲学、和太鼓、マネーなどの受講経験がある。時間の確保しやすい早朝スタートの講座であること、早起きして学ぼうというポジティブで活動的な人たちと出会えること、その分野の第一人者から学べること、講師と生徒、生徒同士のつながりが深いことなどに魅力を感じる。教室を飛び出してフィールドワークが行われるのも楽しい。

次に、コワーキングスペースタイプの学び場である。コワーキング(Coworking)とは、会議室、打ち合わせスペースなどを共有しながら独立した仕事を行う共働ワークスタイルのことだが、このタイプでは、同じ空間でそれぞれが好きな時間に好きなことを学ぶ一方、メンバー間で情報交換や勉強会も行われる。「academyhills 会員制ライブラリー」「勉強カフェ」などがある。学んだことを仲間とシェアすることで考えを深められること、仲間を探して目標に向かって互いに応援し合うことも可能なのがよい。ネット環境が整っているのはもちろん、場所によっては、新聞・雑誌・書籍が揃っていたり、ドリンクが頼めたりと長時間集中して取り組める空間となっている。

最後に、パーソナルコーチタイプの学び場である。コーチについてもらい、1対1で学ぶ。学ぶ時間、場合によっては場所も自分で決めることができる。「Cyta」や「大人の家庭教師」といったサービスが展開されている。「Cyta」には、語学、楽器、ランニングなど多様なジャンルのコーチが登録されており、利用者は自分の目的に合わせてコーチを選んで学ぶことができる。受講者数は15,000人を突破した。このタイプの学び方で嬉しい点は、自分のペースで学べること、コーチが親身になって自分を応援してくれることである。応援してくれる人がいると学びは継続しやすくなる。

以上3つのタイプの新しい学び場をご紹介した。人と人がつながり、考えをシェアしたり、話し合ったり、応援したりされたりする場が求められ、支持されているのだと感じる。興味があれば是非試してみて頂きたい。
(2013年8月 古平 梢)