2014/01/30

取り去るということ

人はあらゆる感覚に頼って日々生活をしています。特に「見る」感覚については、大きく依存しており、全感覚の8割が視覚であるとも言われております。その視覚がなくなると、どういった生活になるのでしょうか。

ダイアログ・イン・ザ・ダーク(※)は、参加者が完全に光を遮断した空間の中で、探検したり、さまざまな体験をしたりする暗闇エンターテインメントです。照度がゼロなので、目が慣れるということもありません。そのため、視覚以外のあらゆる感覚がフル稼働します。音、臭い、空気の流れが唯一の情報源で、これらに感覚を研ぎ澄ますことになります。実際に体験してみると分かるようですが、暗闇の中では、中々動き始めることができません。グループでの体験では、「こっちに何かあるよ~」「こっちは危険そうだよ~」など、メンバー相互の情報が大きなヒントになります。初めて出会った人同士でも、この体験が終わるとなんともいえぬ一体感が醸成されるそうです。それゆえ、企業のチームビルディング、コミュニケーション研修にも利用されます。

何か新しいものを創造しようとするときや、新しいビジネスモデルを考えようとするとき、いくつかのアイデアをくっつけたり、既存の事業・商品に加えたりが、よく行われるでしょう。いわゆる、足し算の発想です。一方、ダイアログ・イン・ザ・ダークにおいて視覚を取り去るということは、引き算の発想です。既存から重要な要素を取り去ることで、その他の要素が研ぎ澄まされ、何か新しい気づき生み出されることがあるという、今までにあまりない考え方です。

あなたが関わっている事業・商品から、重要な要素を取り去ってみることで、その他の要素の際立ちが感じられるはずです。それらにより、何か革新的なことが生まれるかもしれません。一度試してみては如何でしょうか。

(※)ダイアログ・イン・ザ・ダーク(http://www.dialoginthedark.com/)
体験料は、1回90分、大人5000円です。東京、大阪で体験することができます。(2014年1月現在)
(2014年1月 稲吉勝範)