2014/02/01

CSRと社会起業について思うこと

2011年3月11日の震災から、間もなく3年となりますが、3.11の震災は企業のCSRの意識に大きな変化を与えました。それまでは多くの企業にとってCSRは寄付・慈善(施し)という位置づけでしたが、震災を契機に、被災地に対してボランティア人材を派遣する企業やNPOの戦略づくりを支援する企業など多様な企業が現れ、CSRの意識も"復興"をキーワードにより積極的なものへと変化しました。
ただ、こうした動きの多くは一過性のものにとどまります。本来このような取り組みには持続性が必要ですが、CSRの効果測定の困難さからか、残念ながら一時的な取り組みに終わってしまったものも多かったようです。
一方で、社会セクターに目を向けるとNPOなどの社会起業家は、震災後、それ以前にも増して存在感を高めています。しかし、一部の成功事例を除き、多くのNPOが収益確保に苦心しているといった課題も残されているようです。

私ごとになりますが、昨年から社会起業家に対するプロボノ活動(職業上の知識・スキルを活かしたボランティア活動)をスタートしました。
支援を通じて感じたのが、社会起業家の思いの強さです。社会を変えたいという理念には強く心を打たれますが、一方でその理念をマネタイズする意識や能力については乏しさを感じました。
裏返して日頃仕事でお付き合いしているような周囲の営利企業を想像してみると、収益獲得の仕組構築力は社会起業家と比べてはるかに優れながらも、理念に欠ける企業が多いということに気が付きます。
そう考えると、お互いの長所が結び付く方向性、営利セクターと非営利セクターの歩み寄りこそが、営利企業のCSRの持続性と社会起業家のマネタイズという両者の課題解決に向けての最良の道ではないかと思い至りました。

営利企業のなかには、NPOとつながりを持ちながら社会起業を事業化して本業に関連づけようという積極的なCSRを手がける企業もあります。また一方で高い経営スキルを持つ優秀な人材が社会セクターに移り、社会起業家として活躍するケースも徐々に増えてきています。こういった動きのさらなる活性化が望まれるところだと感じました。
(2014年1月 長田和弘)