そんな折、4月4日の日経新聞夕刊に、フレンチシェフ三国清三氏のコラムが載っていた。内容は、最近は「縮み志向」の若者が目立ち、海外へ留学する学生はめっきり減り、「普通でいい、普通がいい」という今の若者を嘆くものである。そして言う、
「普通を維持するにも一定の目標が必要である。平均点は目標に向かって努力を重ねていかないと加齢とともにどんどん目減りしていく。」
三国氏の言葉は若者に向けてのものであるが、まさに今の私にもあてはまる言葉であると思った。10年前、診断士になるためにかなり勉強し、自分のレベルはそれなりに向上したと思う。しかしそれ以後の10年はどうだろうか。診断士になった時点を平均点だとすると、その時が頂点で、まさに加齢とともに平均点がどんどん目減りしていないだろうか。
私はここ2年ほどある企業でまた情報システムの仕事をしているが、昔取った杵柄が通用し、それなりに貢献し、評価もされ、居心地は悪くない環境にいる。しかし一方ではそこに安住し、だんだん今の環境に閉じこもりつつある自分を感じていた。三国氏の言葉はまさにそんな自分を表現した言葉であると思った。考えてみれば当たり前である。世の中はどんどん進歩し、周りの平均点はどんどん上がっているわけである。その中で普通にしていれば、相対的な位置は低下する。
これからの5年間、また自分の平均点を上げるために目標を持ってやっていこうと思う。
(2014年 4月 伊藤 純一)