2015/08/31

郷に入っては郷に従え

私はこの一年間、海外5カ国、国内10県と国内外様々な場所を旅行した。旅行を通じて、観光資源を持っている地域の産業は強いなと強く感じた。ここでの観光資源とは、世界の文化遺産、自然遺産はもちろん、その地域の特産物、風景、その地域ならではのブランドイメージ(例:海と言えば沖縄等という連想)等多くの意味を持たせたい。とにかく観光資源があるだけで、それを目当てに多くの人が集まってくる。近年では世界的にも旅行人口が増加しており、2014年では11億3800万人と過去最高を記録している。日本も2020年までに2000万人のインバウンドを目標に、国内の観光産業に力を入れ始め、国内の旅先でも、既に多くの外国人を見かけるようになった。

観光地は人が多く来訪すると経済的には潤うが、一方で観光資源を傷つけてしまうリスクも高まる。昨年イタリアに行って驚いたのは、観光名所の至る所に観光客が残した落書きがあったことだ。名前や日付などが多く記念に書いたつもりだと思われるが、その場を生業としている管理人や後にそこへ訪れる観光客は心地良く思わないだろう。特に世界文化遺産等は貴重な価値が与えられているので、傷つけることがあっては言語道断だ。今夏には、屋久島のエコツアーに参加したのだが、屋久島内でのゴミ持ち帰り・分別、野生動物への餌付け禁止は周知徹底されていた。自然遺産に登録されている屋久島では、生態系を崩さず守るために観光客へこのようなお願いをしている。

今後、日本から海外へ旅行する人、海外から日本に来る人どちらの人数も増加していくと思われるが、その地へ旅をする以上、その地に適した振る舞い、ルール、マナーを遵守することが大切であると実感した。旅行は非日常で開放的になる分、羽目を外しがちになるが、遵守するべきことをきっちり守ることは一人ひとりの意識の問題である。まわりはどうであれ、まずは自分から。このように思う人が増えれば、後世にも美しい観光資源を残していけるだろう。
(2015年8月 U.H)