2015/12/31

RESASと地方創生

本コラムをご覧の皆さんは、「RESAS(リーサス)」というシステムをご存知でしょうか。また「RESAS(リーサス)」が地方創生の取組において、どのように活用されているかご存知でしょうか。

 「RESAS(リーサス)」とは、「地域経済分析システム:Regional Economy and Society Analyzing System」」の略称で、2015年4月21日から、内閣府の「まち・ひと・しこ?と創生本部」が、全国の地方自治体へ提供しているシステムです。行政機関、民間事業者が保有するオープンデータ※、ビッグデータのうち、地域の産業構造や企業間取引、人口動態、人の流れ、観光、農業等に関連するデータを国が収集、その分析結果を地図上へ展開したり、グラフやチャートなどの形で、誰でも分かりやすいように見える化されています。そして、分析結果データは、CSV形式での取得が可能です。
 一部機能を除き、無料で一般公開されていますので、是非アクセス(https://resas.go.jp/)してみて下さい。
※オープンデータ:主として、行政機関が保有する経済・産業の情報、人口動態に関する情報、地理情報、防災関連情報、統計情報などの公共データを利用しやすい形で公開し、広い範囲での利用が許可されているデータ。

 上記にてRESASの概要についてご説明しましたが、次にRESASと地方創生との関係を、以下①?④の順で追ってみたいと思います。
①2014年9月12日、?内閣府に「まち・ひと・しこ?と創生本部」設置され、?人口急減・超高齢化という課題に対して、政府一体で取組み、各地域はそれぞれの特徴を活かした自律的・持続的な地方創生を目指すことになりました。
2014年10月28日、石破地方創生担当大臣が閣議後記者会見し、地方自治体は、?RESAS(地域経済分析システム)を活用して『地方版総合戦略』を策定する旨の説明を実施。
2014年10月31日、上記②をうけて、石破大臣は、各省事務次官に対して、?RESAS開発のためのテ?ータ提供の協力、および、省庁間の連携体制構築(収録テ?ータ及ひ?機能拡充要)を要請しました。
④2014 年12月27日、「まち・ひと・しこ?と創生『長期ヒ?シ?ョン』及ひ?『創生総合戦略』が閣議決定され、国は「RESAS(地域経済分析システム)の開発・提供により、地方創生に係る地方自治体の取組の情報支援を行うことになりました。
 こうした経緯を経て、RESASは地方創生の重要な情報支援ツールとしての位置づけを与えられました。

 また、中小企業白書の2014年度版、2015年度版においても、RESASが取り上げられています。白書によると、地方自治体は、RESASを用いた地域の産業構造や企業間取引構造の分析により、地域経済活性化の鍵を握る「コネクターハブ企業(地域中核企業)※」を抽出し、そこに政策資源を投下することで、より効率的・効果的な施策を講じる事を期待されています。つまり、地方自治体は、従来の経験・勘・度胸(KKD)に基づく政策立案から、データ、エビデンスに基づく政策立案への移行を求められることになった、という訳です。
※コネクターハブ企業(地域中核企業):地域内て?取引か?集中 (ハフ?機能)し、地域外とも取引を行う(コネクター機能)企業のうち、特に地域への貢献が高い(地域内から多く仕入、地域外に販売する)企業。

 さらにRESASの地方自治体への展開の動きに連動して、地域住民を対象に勉強会が開催されています。私も多摩地区で開催された勉強会に参加しましたが、様々なバックグラウンド(地方議員、金融機関、IT企業、メーカー等勤務、コンサルタント、デザイナーなど)の方々と地方創生について議論する事が出来て、非常に刺激を受けました。
 今後、地域経済循環、農林業、観光のデータが順次追加されるようです。データ分析や地方創生に、ご興味がある方は、RESAS勉強会に参加されることをおすすめします。
2015年12月 小出 聡