2015/12/29

ストレスチェック制度義務化制度について

2015年12月1日よりストレスチェックの義務化がスタートしました。

この制度は、従業員50人以上の事業場に対し、年1回のストレスチェックを義務化する
もので、具体的には、厚生労働省が公表している標準的な57項目のチェックシート(調査票)をマークすることで従業員のストレス度合いを図るものです。

これまで企業には、年1回の健康診断実施の義務がありましたが、一定の規模(50名以上)の事業場においては健康診断に追加して、メンタル面の高不調を判定するストレスチェックが求められるということです。

ストレスの判定は、「医師、保健師、厚生労働省の定める研修を受けた看護師、精神保健福祉士」のいずれかの資格を持った専門家が行います。
高ストレス者と判定された場合で、従業員から希望が合った場合は、医師との個別面接を企業負担により実施しなければなりません。
また、ストレスチェックや個別面接の結果などを通じ、企業には残業対策や異動など就業上の措置が求められます。

ストレスチェック義務化の背景には、職場が関連して発生している自殺やうつなどの精神障害が増加していることが上げられます。
厚生労働省が公表した、平成26年度「過労死等の労災補償状況」の中の精神障害に関する労災補償の支給決定件数は、平成22年が308件に対し、平成26年には497件まで増加しました。またその件数のうち、自殺の件数は、平成22年が65件に対し、平成26年が99件まで増加しております。

メンタルに関する病は健康診断の結果にあらわれない場合も多いので、健康診断とは別な仕組みでメンタル面の健康状況を把握するストレスチェック制度は、自殺やうつ、過労死などの予防に繋がることが期待されます。

企業はストレスチェック対応を行いながら、並行的に超過残業対策やメンタルヘルス理解のための社内研修、相談窓口の確保など中長期的なメンタルヘルス対策を講じていくことで、ストレスチェック制度がより効果を発揮するものになると思います。

2015年12月 斎藤 憲明