2016/03/31

行動経済学について

学生のときから行動経済学に興味がある。
行動経済学は、「人は常に合理的に経済活動をするとは限らない」という前提に立ち、その非合理的な行動を解き明かそうとする経済学の一分野である。

従来の経済学では、人は常に合理的に(1円でも得するように)行動するという前提であった。しかし、実際は常に合理的に行動することは難しい。誰しも感情があり、過去の経験に基づいた先入観や偏見が心に染み付いていて、その感情や先入観、偏見が合理的な行動を阻害してしまうからだ。

非合理的行動の具体的な例として、以下の①~④のケースがある。

①自分で働いて稼いだお金(給料など)は大事に使おうとするが、ギャンブルで当たったお金や保険の満期一時金などの臨時収入は深く考えずにパーッと使ってしまう。

②日々の買い物では10円でも安いものを買うようにしているのに、マイホームなど大きな買い物をする場面では、数十万円もする付属品(たとえば家具や、庭の植木など)を、深く考えることもなく購入してしまう。

③買い物をする際に、現金払いよりクレジットカード払いのほうがつい気軽に、大きな金額を使ってしまう。

④株式などに投資する際に、値上がりしたものはすぐに売って利益を確定させたくなるが、値下がりしたものはずっと持ったまま、損切り出来ない。

このようなことが、非合理的な行動の例である。
行動経済学について学び、その考え方を活かそうとするならば、これからは次の①~④の行動をとるようになる。

①自分で働いて稼いだお金も、臨時に得たお金も同じ価値である。臨時収入であっても無駄遣いはせず、働いて稼いだお金と同等に考え、慎重に使い道を考える。

②大きな買い物をするときでも、付属品は付属品単体として考え、金額をよく考えて購入するかどうか判断する。

③クレジットカード払いだと実際にお金を財布から出して渡さないので、お金を使っているという実感が沸きづらい。クレジットカード払いにするとお金を使いすぎてしまうようであれば、いっそクレジットカードは使わないようにして現金払いにする。

④株式などを購入する際には、いくらまで上がったら(もしくは下がったら)売却するということをあらかじめ決めてから購入し、株式の価格がその金額になったときには必ず売却する。

以上は行動経済学活用のほんの一例に過ぎないが、どのような場面で人が合理的な行動をとりづらくなるのか、知っているのと知らないのでは日々の行動に差が出る。

投資に関しても、陥りやすい過ちに気づいていれば、感情に流されることなく、適切な判断を下せる可能性が高まる。

株式投資などで、個人投資家が個人であることの強みを活かして、機関投資家を上回るリターンを得ようとするような場合でも、行動経済学について知っておくことは絶対に欠かせない。

これから投資を始めようと考えている方は、手始めに行動経済学についての本を一冊読んでみることをお勧めする。
2016年3月 飯塚 惠美