2016/07/01

松花堂弁当のススメ

先週、勤務先で研修講師を担当しました。一日コースの研修でしたので、研修メンバーに昼食を用意する必要がありましたが、松花堂弁当(しょうかどうべんとう)を選定しました。実は、この松花堂弁当を選んだのには意図がありました。

松花堂弁当とは、中に十字形の仕切りがある弁当箱を用いた弁当のことで、それぞれの仕切りに刺身、ご飯、前菜、煮物などが盛り付けられています。「松花堂」の由来は、江戸時代初期の僧であった松花堂昭乗(しょうかどうしょうじょう)に因むものです。彼は、十字形の仕切りで4つに分かれた器を作り、小物入れとして使用していました。その後、日本屈指の名料亭「吉兆」の創始者である湯木貞一が、その小物入れを工夫して弁当に発展させたのが松花堂弁当です。

松花堂弁当をお勧めする理由は、4つに仕切られているデザインがビジネスの場で大変有効だからです。SWOT分析、PPM、アンゾフの成長戦略等、多くの松花堂弁当形式のフレームワーク(入れ物)がビジネスの世界で活用されています。つまり、縦軸と横軸に2つの軸を取り、4象限で物事を考えることは非常に有効です。

また、数量としても4が最適な数量です。マジックナンバー7という言葉があります。マジックナンバー とは、アメリカの認知心理学者ジョージ・ミラーが1956年に提唱したもので、人間が短期的に大体7個くらいは記憶できる、というものです。しかし、7つの海。世界七不思議。虹の7色等・・・、覚えている人は少ないと思います。7つという数量は多いのです。4つという数字が、人間が短期的に記憶できる適正な数だと思います。

とかく人は多くのことを伝えたがりますが、伝わらなければ、記憶に残らなければ意味がありません。研修のメンバーには、4象限でモノゴトを考える癖とシンプルに4つまでの項目で伝える重要性を、松花堂弁当を楽しみながらお話しをしました。

このコラムをご覧の皆さまも、松花堂弁当のフレームワーク(入れ物)で考えること、伝えることをお勧めしたいと思います。
2016年6月 加藤